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愛犬を中心に遠距離生活(日米)を送るマイペース夫婦が、リモートワークやペットライフなどについてのんびり書きます。

年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学。リモートワークの限界?[ブックレビュー④]

リモートワークを推奨している私たち夫婦は、田舎に住みながら、のんびりとした環境を享受しつつ、東京などの都市に住んでいるのと同じように仕事をしてキャリアを積んでいけたらと常々思っています。IT の進歩でリモートワーク自体は技術的には不自由なく行うことができますが、それでもやはり物理的に会社の通勤圏内に住み、通勤することの重要性を実感する時があります。

 

最近、『年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学』という本を読んだ時もそう思いました。

 

最初タイトルだけを見た時には、自己啓発的な本かと思ったのですが、そうではなく、どちらかというとアカデミック色が強い内容です。

 

著者はエリンコ・モレッティというイタリア生まれの経済学者で、現在はカリフォルニア大学バークレー校の教授です。この本は、アメリカでの様々な統計データを元に何故アメリカでの製造業が復活しないのかと、何故イノベーション - IT やサイエンス系がこれからのアメリカの成長ドライバーになるかをデータを元に解説しています。

 

 

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何故、先進国の製造業は復活しないのか?

トランプ次期アメリカ大統領は、大企業に対して製造工場をアメリカに作るようにとプレッシャーをかけてます。最近では、アップル、フォード、そして年明けにトヨタにもプレッシャーをかけており、多くの人が面食らっているようです。アメリカに工場を作らせたいのは、彼を支持している労働者階級の雇用を作りたいからという理由のようです。彼らしいなかなか強引なやり方です。と、同時に選挙選での公約を果たそうとしている事に関しては、素晴らしいと思います。

 

日本のメーカーが中国や韓国のメーカーに苦戦しているのを見ているので容易に想像ができると思いますが、先進国の製造業がなかなか復活できない理由は、その人件費の高さです。

 

先進国になると、生活水準が高くなります。そのため、物価が上がり、人件費も高くなります。そうなってくると製造メーカーとしては、さらに良いものを安く提供するために部材調達が安くでき、安い労働力で製造ができる国に工場を移してしまうという傾向があります。産業の空洞化というやつですね。

 

雇用の消失という厳しい現実を突きつけられると、時計の針を巻き戻すべきだと言う人が多い。製造業を国内外のあらゆる脅威から保護せよ、と言うのだ。こうしたいわば製造業保護活動家たちは、歴史の大きな潮流れに逆らっている。現実には、製造業の衰退を招いた諸要因を押し止めることは不可能に近い。

第1章の最後の節より。 

 

過去とは状況が異なるのに、特定の部分だけ無理やり元に戻したからってうまくいくとは到底思えません。SNS のせいでより人間関係にストレスを感じる社会になったから SNS を廃止しろと言っている人とちょっと似ているかなと思います。

 

トランプ次期大統領がこの本を読んだらどんな感想を持つのか非常に興味があります。また、エリンコ教授は今のトランプ次期大統領を見てどう感じているのでしょうか。

 

 

今後、先進国はどうするべきか?

著者曰く、今後のアメリカの繁栄はイノベーション産業にあると主張しています。IT や製薬などのサイエンス系です。これらの産業はグローバルで展開できる傾向があり、非常に大きなビジネスポテンシャルを秘めています。そして、その産業が地域で主要産業になると、それを中心に人口が増え、ローカルビジネスが発展するそうです。ローカルビジネスとは、その地域で生活する人達の生活サービス、例えばレストラン、美容室、学校など。また住居や施設の需要も増えるので建築業なども盛んになり、その地域が全体的に栄えて良いエコシステムが出来上がると言う話です。本の中ではシリコンバレー、シアトル、ローリー・ダーラムを例として、その地域のデータを分析しながら説明をされています。著者のデータ分析によると、同じローカルビジネスの職業に従事している人の給与は繁栄している地域と、繁栄していない地域では大きな差があり、それは他の要素、例えば学歴、などよりも大きな相関関係があるそうです。需要と供給のバランスであったり、繁栄している地域では高級なモノやサービスが求められるでしょうからこの説明には納得です。

 

また本の後半では、ではどうやったらそのノベーション産業を育てることができるのか?政府はどうあるべきが、また教育機関はどうすべきかなどについても書かれていてとても興味深いです。日本でも製造業に変わる成長産業を作りだす必要があると言われて久しいですが、この本にヒントが隠されている気がしました。

 

 

やはりイノベーション産業が生まれている土地に住む方が、雇用もあり賃金も高く、その他諸々のサービスも充実するので、生活の質も向上します。のんびり田舎から仕事をしたいところですが、まだまだ田舎にこもって仕事をするにはもう少し時間がかかりそうです。

 

 

年収は「住むところ」で決まる  雇用とイノベーションの都市経済学

年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学

 

 

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