テレビやネットなどで、いろいろな分野の成功者たちのサクセス ストーリーを目にする機会があると思いますが、「あの人には才能があったから成功したんだな」というような感想をもってしまうケースもあると思います。しかしながら、才能がある人でも人に見えないところで様々な努力と工夫を経てその成功を掴んでいます。表向きのストーリーに、その努力と工夫の詳細が含まれていなかったとしても、多くの人が想像できる事だと思います。
その努力や工夫を「やり抜く力」も一つの能力ではないのか?むしろ、それこそがむしろ成功のために重要なのではないか?という所に着目し、その「やり抜く力」の正体について研究をしているアンジェラ・ダックワースという心理学者がいます。その彼女が書いた、「GRIT やり抜く力」という本が最近話題となっています。本屋などで平積みになっているのを見た人もいるのではないでしょうか?今回その本を読んでみて、自分自身の「やり抜く力」を考えるきっかけになったのでご紹介したいと思います。
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GRIT 「やり抜く力」という本の概要
才能や IQ だけが成功を決めるわけではない。成功者は共通して「やり抜く力」を持っていた。現在世界的なベストセラーとなっており、日本語版が出版されてからも新聞書評をはじめ様々なメディアで紹介されている本です。
この本の中では、才能は成功・失敗を分けるものではなく、それよりも大切なのはこの 「GRIT (やり抜く力)」であり、それは何なのか?どうやって醸成されるものなのか?について説明されています。
なぜ「やり抜く力」が成功にとって重要なのか。さらに自分の現在のやり抜く力がわかるテストや、やり抜く力を伸ばすための効果的な方法などが紹介されており、大変ためになります。
また自分自身をやり抜く力を伸ばすだけでなく、子供のやり抜く力を伸ばすために大切なことも説明されており、子育て中の方にも是非読んでもらいたい本です。
著者 アンジェラ・リー・ダックワース
著者のアンジェラ・ダックワースは、Harvard College で神経生物学を学んで卒業したのち、オックスフォード大学(University of Oxford)で同分野の修士課程を修了し、途中コンサル業界や中学校の数学教師を経て、University of Pennsylvania で博士課程を修了しています。かなりの素晴らしいアカデミックなバックグラウンドをお持ちの方です。
マッキンゼーのコンサルタントとして高い評価を得て仕事をしていましたが、その仕事を辞め、サンフランシスコやニューヨーク、ペンシルバニアの公立中学校で数学を教えることになります。その数学教師としての経験のが「やり抜く力」に着目するきっかけになりました。
彼女の TED でのプレゼンテーションも興味深いので、ぜひ見てみてください。
GRITとは?
GRIT とは、辞書によると、「勇気」や「やる気」「根性」という意味があるそうです。私はこの単語を知らなかったのですが、普段同じような意味の言葉としてTenacity を使っていました。これには「粘り強さ」や「不屈」という意味があります。
「才能」すなわち「スキルが上達する速さ」は、間違いなく重要だ。しかし、両方の式を見ればわかる通り、「努力」はひとつではなくふたつ入ってくる。「スキル」は「努力」により培われる。それと同時に、「スキル」は「努力」によって生産的になるのだ。
(同書71ページからの引用。)
著者の仮説では、成功を納めるには、やり抜く力を2つの側面 − スキル向上とそのスキルを使っての成果を出す − で発揮する必要があるから大切だと主張しています。
GRIT は伸ばせる
著者の研究によると、この GRIT は伸ばすことができるそうです。しかも、内的要因で伸ばすこともできるし、外的要因でも伸ばすこともできると述べています。
確かに、自分で明確な目標や目的があれば少しの挫折を乗り越えることができます。また、レベルの高いチームや会社に所属すると、その習慣についていこうとして、必然的に頑張ることになります。
頑張りや、勤勉さという文化が根付いている日本人からすると、とても興味深い内容の本でした。私達の多くが無意識に行なっている事を心理学者の視点から体系立てて説明してくれているようにも思えました。
学術的な分析、説明を得たことにより、自分のやり抜く力をより意識して伸ばしていけるようになったと思います。
やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
- 作者: アンジェラ・ダックワース,神崎朗子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/09/09
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